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2001年5月11日更新

熊本地方裁判所「『らい予防法』違憲国家賠償請求訴訟」判決に関する、宗務総長見解

「ハンセン病違憲国家賠償請求訴訟」判決に対する見解

 

 本日、熊本地方裁判所は、「『らい予防法』違憲国家賠償請求訴訟」に対して、国が、「らい予防法」による隔離政策の抜本的変換等を怠った、として原告の訴えを認めた判決を下しました。

 

 私たち真宗大谷派は、この判決のもつ意味を重く受けとめ、あらためてこの訴訟の願いを自らのうえに確かめ、今回の判決が、「らい予防法」 による全ての被害者の人権の具体的回復、さらにあらゆる人たちの人間解放に資するものとなることを強く願い、ここに見解を表明いたします。

 

 私たち真宗大谷派は、昨年6月、本訴訟に対する見解を表明いたしましたが、そこで述べましたことの基本は、この訴訟において、私たちはあくまで「被告」であるということでありました。そのことをはずして、「無批判に国家政策に追従し、隔離という政策徹底に大きな役目を担った真宗大谷派が、この訴えを受けとめていくということの主体的立場はありえない」、との思いからであります。そのことは、そのままこの判決を受けとめる私たちの立場であります。

 

 そこでまず確かめておきたいことは、原告が「違憲国家賠償請求」という形でこの訴えを起こさざるを得なかったのは一体何なのかということであります。

 

 それは、絶対隔離政策を推進、是認してきた療養所の外にあるものが、「らい予防法」廃止後も、差別的偏見を持ち続け、「何も変わらない」 「変わろうとしない」という現実に対する原告の深い悲しみ、怒りだったのではないでしょうか。そして、その深い悲しみと怒りから立ち上がり、私たちがつくっている国の在り方を問うという形となったのがこの訴訟であると受けとめます。

 

 従って、私たちがその悲しみ、怒りを、自らの悲しみ怒りとして受けとめることができないとするなら、そのことは、原告ならびにこの国の隔離政策によって被害を受けた全ての人たちに対する、言い逃れのできない、再び侵す人権侵害であると言わねばなりません。

 

 このたびの判決が出た今、あらためてこの訴訟にかけられた願いを血肉化していくことこそが、私たちの課題であります。それは、「らい予防法」により傷ついた原告、全ての入園者、さらにはその家族、そして隔離してきたことにより自らの人間性を失ってきた私たちが、この訴えを、共に解放されていく力にしていくこと以外にあり得ません。

 

 共に解放されるとは、この課題の前に互いが変わる姿を見いだしあうということであり、互いが変わりつづけることが一人ひとりの解放になるということでありましょう。それは全ての隔離してきたものと隔離されてきたものが、この「存在に値しない命」というものをつくり出そうとする極めて非人間的法律を私たちの国が持ち続け、そして、私たちもまたそれを容認してきたことに対する過ちの重さをはっきり見据えることから始まるのではないでしょうか。

 

 そこに、原告になった人も、原告にならなかった人も、「被告」である私たちも、共にその立場に立ちつつ「御同朋」と互いを見いだしあえる関係が生まれてくるのではないかと思います。

 

 今回の訴訟と判決がもつ意味とは、人間が人間として生きるために「らい予防法」は廃止されなければならないものであったのだ、ということが、私たち一人ひとりのところであらためて確かめられる大きな機縁であり、そしてそのことがそのまま国の在り方を問いなおすことになるのだということを示 した極めて大きなものであると受けとめます。

 

 その意味で、私たちは今、「『らい予防法』は廃止されたが、何も変わらなかった、変わろうとしなかった」という、原告や全ての入園者そして家族の方々の深い悲しみと怒りを、裁判は勝訴したけれども、「やっぱり何も変わらなかった」と、またもやその絶望を重ねさせるということだけは、決してしてはならないことであります。

 

 そして国もまた、控訴することなく、この判決を素直に認め、被害を受けた全ての人たちに対し、心から謝罪をなすべきであります。

 

 今後、真宗大谷派としては、この判決を糧として、あらためて訴訟のもつ問いかけと願いを受けとめ、「明らかに被害を受けた人々にとって、心の底から納得できる解決とは何か」ということを、各療養所等の交流を通じて人と人とのつながりのなかで、具体的な課題として荷負ってまいりたいと意を新たにするところであります。

 

2001年5月11日

真宗大谷派宗務総長 木越 樹

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