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2006年12月26日更新

死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明

   12月25日、法務省が死刑囚4名の死刑を執行したことについて、真宗大谷派では26日、宗務総長名による宗派声明を発表しました。


 

死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明

 

  昨日、東京拘置所で2名、大阪拘置所で1名、広島拘置所で1名の死刑が執行されました。

 

  なかんずく、この1年3ヵ月間、死刑の執行が停止され、死刑制度に関する論議の必要性が広く社会に喚起されつつあったことに鑑みれば、まさに今回の執行が、死刑制度の論議さえも否定し、その温存のみを意図したものであると思わざるを得ません。

 

  私たちは、たとえどのような罪を犯した人間、また未だ反省や悔悟の気持ちを表現することにいたらない人間であっても、それを排除することなく、かけがえのないいのちとして尊重することをとおして共に生き合える世界を、阿弥陀如来の本願として教えられています。私たちはその根源の願いに立って、一人ひとりの人間が、いのちの尊厳において見出される社会の実現を願うものであります。

 

  現在、私たちの国では、人間の持つ限りない欲望によって、いとも簡単に人が殺されるという事件があとを絶ちません。被害者遺族の悲しみ、怒り、憎 しみは、どのような言葉をもってしても表すことができないほど深く、激しいものがあります。殺人という罪を犯した者は、そのいのちを絶つことをもって償うべきであるとの心情は、遺族とすれば当然と言えるかもしれません。また、遺族を思いやる心にあいまって、連日、報道される事件の残忍さも死刑執行、死刑制度の存続を願う世論の高まりにつながっているのでありましょう。

 

  しかしながら、私たちは、どうして犯罪を起こしたのか、どうして罪を犯す人間になってしまったのか、ということについてはあまり考えることはありません。そして、自分自身は決して罪を犯すことがないと無意識のうちに思い、犯罪者を憎み、極刑を望みます。こうした応報思想は新たな悲しみを生み出すことはあっても、決してそれによって救われることはありません。はたして遺族の心の傷が真に癒え、罪を犯した者もが救われるとはどういうことでありましょう か。 私たちは、死刑制度の存続を支持する世論がいよいよ高まっている今日、死刑に関する意見や立場の違いを認め合いながら、遺族の救済のあり方を含め、この制度について論議していく場を開いていかなければならないと考えます。

 

  ここに、あらためて今回の死刑執行に遺憾の意を表明すると共に、今後の死刑執行を停止し、死刑制度についての論議が開かれ、死刑廃止に向けての取り組みが進められますよう願うものであります。

 

2006年12月26日

真宗大谷派宗務総長 熊谷 宗惠

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