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2007年5月14日更新

死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明

   4月27日、法務省が死刑囚3名の死刑を執行したことについて、真宗大谷派では5月2日、宗務総長名による宗派声明を発表しました。


 

死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明

 

   4月27日、東京拘置所で1名、大阪拘置所で1名、福岡拘置所で1名の死刑が執行されました。

 

   今回執行された中には、長く宗教教誨を受けられるなか自ら犯した罪を悔い、その気持ちを拘置所内の絵画制作によって表していた方もおられます。当派は1999年と2002年、彼を含めて多くの死刑確定者の作品を借り受けて、絵画を通して死刑確定者に身近に触れるという趣旨のもと、「いのちの絵画展」を開催し、死刑制度について論議を広める取り組みを続けてまいりました。しかしながら、昨年12月25日の執行に引き続き、わずか4ヵ月あまりの間に7名に対して死刑執行が行なわれたことは、こうした死刑制度に関する論議を否定し、その温存のみを意図したものであると思わざるを得ません。

 

   私たちは、たとえどのような罪を犯した人間、また未だ反省や悔悟の気持ちを表現することにいたらない人間であっても、それを排除することなく、かけがえのないいのちとして尊重することをとおして共に生き合える世界を、阿弥陀如来の本願として教えられています。私たちはその根源の願いに立って、一人ひとりの人間が、いのちの尊厳において見出される社会の実現を願うものであります。

 

   現在、私たちの国では、人間の持つ限りない欲望によって、いとも簡単に人が殺されるという事件があとを絶ちません。被害者遺族の悲しみ、怒り、憎 しみは、どのような言葉をもってしても表すことができないほど深く、激しいものがあります。殺人という罪を犯した者は、そのいのちを絶つことをもって償うべきであるとの心情は、遺族とすれば当然と言えるかもしれません。また、遺族を思いやる心にあいまって、連日、報道される事件の残忍さも死刑執行、死刑制度の存続を願う世論の高まりにつながっているのでありましょう。

 

   しかしながら、私たちは、どうして犯罪を起こしたのか、どうして罪を犯す人間になってしまったのか、ということについてはあまり考えることはありません。そして、自分自身は決して罪を犯すことがないと無意識のうちに思い、犯罪者を憎み、極刑を望みます。こうした応報思想は新たな悲しみを生み出すことはあっても、決してそれによって救われることはありません。今、私たちに求められているのは、犯罪被害者遺族の悲しみを共にし、加害者の心からの反省や悔悟や償いを可能にする新たな関係を生み出していくことではないでしょうか。

 

私たちは、死刑制度の存続を支持する世論がいよいよ高まっている今日、死刑に関する意見や立場の違いを認め合いながら、遺族の救済のあり方を含め、この制度について論議していく場を開いていかなければなりません。

 

   ここに、あらためて今回の死刑執行に遺憾の意を表明すると共に、今後の死刑執行を停止し、死刑制度についての論議が開かれ、死刑廃止に向けての取り組みが進められますよう願うものであります。

 

2007年5月2日

真宗大谷派宗務総長 安原 晃

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