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宗祖としての親鸞聖人に遇う

釈尊の説教を頂戴される聖人

(松本 専成 教学研究所嘱託研究員)

いま手元に、安井広度先生を代表者とした親鸞聖人全集編集同人(八人)により刊行された『親鸞聖人全集教行信証』2を置いている。昭和三十六年五月三十日の初版発行、定価四百五十円である。東本願寺では、親鸞聖人七百回御遠忌が無事勤修された直後のことになる。この全集こそ、宗門の学者が派を越えて結集し、全力を傾注して世に問うたものである。
全十八冊。この刊行が始まった昭和三十年、私は、学業も生活も日本育英会の奨学金に依存する貧乏学生であった。なぜかお金がなかった。指導を受けていた藤島達朗先生から、全集刊行を教わっても、すぐには入手できず、学部を出て大学院に進み、かたわら教学研究所に嘱託から助手に採って頂いてから、給料全部で既刊分を買った。
その全集本の『教行信証』1と2は、稲葉秀賢先生が中心となり、藤原幸章、細川行信、幡谷明の諸先生が携わられた。学寮から明治以降の真宗学が凝縮している。
その2の二九七頁の中央に、

『阿弥陀経』言不可以少善根福徳因縁得生彼国聞説阿弥陀仏執持名号

を諸本を対校して訓(よ)み(真宗聖典三四八頁参照)を示した上で、〈〔底本〕「不可…生彼国」十四字、右に補記〉と注意してくださってある。そこで、近年宗門から出た坂東本コロタイプのこの箇所を確認すると、親鸞聖人が当初はお釈迦さまの教えを「阿弥陀仏を説くを聞きて名号を執持せよ」と頂いておられたことが分かる。その凛然たる態度に身の置き所のない感動を覚える。
住職を四十一年勤めて息子に譲った。三十戸に満たない門徒だが、ほぼ全戸に月参りしてきた。拝読するのは阿弥陀経である。この頃気づいたのだが、短時間で読了する阿弥陀経なのに、親鸞聖人はその前半、極楽の荘厳を著書にご引用にならない。「十方微塵世界の念仏の衆生をみそなわし摂取してすてざれば阿弥陀となづけたてまつる」。以下五首の弥陀経和讃にも、すばらしい極楽の描写は出ない。極楽に憧れて、善根功徳を積み重ねて、極楽に往生することは「不可」だとお釈迦さまが仰せられるのだ、と。
それでも福徳を気にする人のために、親鸞聖人は元照律師の著作を引いて、補説される(真宗聖典三五一頁)。それはまさしく「信心のひとにおとらじと疑心自力の行者も如来大悲の恩をしり称名念仏はげむべし」(疑惑和讃七)という励ましで、改めて、親鸞聖人の峻厳(しゅんげん)な聞法の姿と同朋への暖かい思いやりとに頭が下がる。こんなことに気づいたのも、譲職の効能であろうか。

(『ともしび』2006年7月号掲載)

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