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宗祖としての親鸞聖人に遇う

感染予防のマスクが意味すること

(水谷 英順 教学研究所助手)

今年の四月から五月にかけての約一カ月間は、新型インフルエンザに関する報道に震撼させられた。感染者は現在千人を超えたということだが、今では大きな話題としては取り上げられていない。もちろんそこには、感染力はあるものの、ほとんどの人にとっては重症化することのないウィルスの特性が判明してきたからではある。
当初、政府もWHO(世界保健機構)が策定した対策行動計画というマニュアルによって水際作戦といわれる、発生国への渡航自粛や帰国便の機内検疫を強化した。このあたりから頻繁に報道されることになった。防護服に身を固め動員された検査官の姿に不安と恐怖心をかき立てられる。そして国内での感染者が確認されるやいなや、本人を隔離しての治療はもちろんのこと、乗り物や部屋を同じくした人々の発熱調査を有無を言わさず行うことが、まかり通った。
また、発生地域とその周辺では感染予防のためのマスク着用者が急増し、薬局などでは品切れになるほどだった。私も電車で通勤しているので、そのマスクの大流行に驚きながら、車内で咳やくしゃみをすることが許されないような緊迫した雰囲気を感じた。鼻からあごまで覆う大きなマスクというものは、着けている人の人相までもわからなくしてしまうことも事実として体験させられた。
次々と流され続けるニュースに得体の知れない不安と恐怖を植え付けられ、それにおびえながら、事態の成り行きにまかせ無表情に孤立している人びと。隣の人はどうなろうとも、自分だけは病気になりたくないし、ましてや死にたくないという生への執着が、そこには露骨に発露している。

『恵信尼消息』第五通には「人の執心、自力の心は、よくよく思慮あるべしと思いなして」
(聖典六一九頁)

と、親鸞聖人が妻の恵信尼公にお話になったことが記される。聖人五十九歳の時、風邪の高熱に浮かされて『大経』の文字が目の前に現れたことから、十七年前にも衆生済度のために三部経千部読誦を思い立って止めた過去があったことを述べておられる。ここでは、ただ念仏申すことを弥陀の本願としていただきながら、読経の功徳で良くなりたいとか、良くしたいという自力心を離れられないことを厳しく内省しておられる。
時には病気にもなり、いずれは死を迎えなければならない身を生きているにもかかわらず、それを受け入れがたい事として反抗し苦しんでいるのが私である。そのように気づかせてくださるのが、一切衆生を必ず成仏させようとはたらいている弥陀の大慈悲なのではないだろうか。

(『ともしび』2009年8月号掲載)

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