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宗祖としての親鸞聖人に遇う

岩手県釜石市宝樹寺からの報告を読んで

(福島 和人 教学研究所嘱託研究員)

 昨年の大震災直後から、自坊と共に困窮の門徒衆を前に、翌四月十一日には寺として実行した対応を、八嶋諭副住職は次のように報じている。
 「行政からの給付が、なかなか届かない中、それなら私が直接配って回れば、多少でも事態と気持ちが前に動く」(以下、『嵩信』二〇一一年十月号、十二月号参照)と思い、「理事会の了承を得て、寺の積立金五〇〇万を崩し、現時点で七〇軒ある津波で自宅が全半壊した同朋・門徒の方々に、一軒七万円の現金を配り始め」、「津波で亡くなられた二〇名にのぼる方々のご葬儀は法礼不要で、住職と最期まで勤めさせて頂いている」と。  だが、その「寺や庫裏の修理費用を、被災した門徒さんに望むのは何よりも本末転倒です。門徒さんあっての寺です。まず、門徒さんの生活再建が第一でなければ」との気持ちからの決断であった中にも、引き続く極限状況下で、「逃げようのない現実の際限のない無力さに苛まれます」、「信心を頂き、念仏して生活する人の日常は、いったいどのような生活なのでしょうか」と、くじけそうになる苦衷からの問いを発している。
 もはや、教義や教語の、私的な内面にこもる思弁や解説によるだけでは、窮状の打開も解決も望むべくもないのである。この社会にあって、寺は誰のために、何を願ってあるのか。この問いを、自明のごとくにして通り過ぎがちな私たちが、現実から問われ、迷い、学び、省み、そして自覚するところから、身をもって生活実践する彼地の青壮の真宗者の業道自然の姿の上に、共に乗托する一念において、各々が自身に託されている使命に全力を尽くすことのほかに、現代に応え得る真宗の歴史形成への道のないことを、教えられるのである。
 大戦に敗北後、懺悔はおろか、検証・内省も不徹底のままに、さらに我痴・我見・我欲をたくましうして走り続けて、再び破局への危機に直面するに至った私たち日本人である。この「三・一一」後から一年を迎えようとする今日の混迷の中で、私たち現代人にあいもかわらず、人類のみの成長を語りつづける身勝手が許されるのであろうか。宇宙の運行の中にある一つの星である地球と共に息づくすべての生類の中にある事実に、目覚めて生きよう、との時代の声が聞こえてくるのである。
 壮年に入って、ときおり、念頭に浮かんでいた聖人の、「この如来、微塵世界にみちみちたまえり。すなわち、一切群生海の心なり」(聖典六二七頁)との一句と共に、しきりに身に響くようになっている私である。
 現実に学び処すということは、世の中にあってためにする巧みな生き方ではあるまい。直面するどうしようもない事態の真底から突きあげてくる要請の中に、自然なる道理を至心に聞きとり、その解決に如来の一子と化して、敢然と取り組む者に身証される道なのである。 
(『ともしび』2012年3月号掲載)

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