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宗祖としての親鸞聖人に遇う

(福島 和人 教学研究所嘱託研究員)

 子どもたちが巣立って、二十年が経った。まだ核家族という言葉の珍しかった頃には、老い二人の日が、こんなに早く訪れようとは思いもせずにいただけに、驚くのである。
 世界にも前例のない経済成長を遂げた日本の激しい変わり方は、一人ひとりの人生や家族の生活、さらには、社会状況や自然の生態系にまで及んでいることは、「身土不二」の教語に照らしても、道理の示す所である。
 ところで、我が家では事情あって、五、六年前から、家事のほとんどが我が務めと相成り、一年を通して台所に立つことになっている。朝、台所からコトコトと聞こえる包丁の音で、目を醒ましていた頃の気分はとっくに消えて、時に哀れをもよおすこともあったが、ほどなく、「台所も、これまた聞法の道場よ」と、心は決まってきた。
 少年の頃から寺で四世代、十三人の大世帯の中で育ったので、食事の手伝いも珍しくなく、学生の頃の自炊生活も、今は助けとなっている。
 気がつけば、素早く要領よく、しかも栄養も片寄ることなく作るということが、出勤前の朝食の準備の掟となっていた。
 南瓜、玉葱、キャベツ、人参、大根、椎茸に玉子に竹輪、すり胡麻、出しじゃこ、そこへ時には季節の青物と前日の残飯を入れての味噌仕込みの雑炊が、三百六十五日、朝食の定番となっている。
 ところで地元の朝市から、丸ごと求めてきた特大のキャベツを、上の葉から切り離しては使って一ヶ月ばかりが経ったころ、その真ん中あたりが脹れ出してきたのであった。そして冬が近づきキャベツにとって替わった白菜も、春間近のころには花芽がのぞき出してきた。根を切られても、なおその芯が含んでいる養分を糧に、生命を継ぎ生きんとするその姿に、私は驚いた。生命の要は、まさに「芯」にあったのである。
 「マニュアル」や「システム」の改革も必要であろう。だが何よりもまず家庭や学校で親や教師が、この子やこの生徒のその「芯」はどこにあるのか、と見守り育むところに、そして一方で子どもや生徒達は、自分に向けて下さっているその気持ちを、じっと胸に手を当てて聞いてみるところに、心が通い合いそれぞれの歩む道が見つかってくるに違いない。

  仏性すなわち如来なり。この如来、微塵世界にみちみちたまえり。すなわち、一切群生海の心なり。(『唯信鈔文意』聖典五五四頁)

との、聖人の教語を思い浮かべるほどに、いかに五濁悪世の度合いが進もうとも、人類のみならず、無辺なる衆生のすべてに通底する「いのち」(仏性)こそが私達人間にとっても「芯」であるという事実に目醒めるところにしか道はないとの思いが、年々に深まってくるのも、加齢のためとばかりとは、思われないのである。
 この人間の道を、聖人との出遇いのなかに生涯を尽くされた教育者の、

  私どもは、自分の生涯でただ一度、それも五十年、六十年前にお会いしただけでも、一緒にいて離れないという実感がする人があります(中略)一度も出会ったことがなくても、場合によっては生涯、自分と一緒にいる人があるわけです。
(廣小路亨「一期一会」『縁に随う』)

との遺語が、いよいよ身に沁みるのである。

(『ともしび』2013年4月号掲載)

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