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正信偈の教え-みんなの偈-

七人の高僧がた

【原文】
弘 経 大 士 宗 師 等
拯 済 無 辺 極 濁 悪

【読み方】
弘経ぐきょう大士だいじ宗師等しゅうしとう
無辺むへん極濁悪ごくじょくあく拯済じょうさいしたまう。


 「正信偈」は、全部で百二十句からなる偈文(詩)です。古くから、この百二十句を三つの段落に分けて学ばれてきたのでありました。
 まず第一の段落は、「帰命無量寿如来きみょうむりょうじゅにょらい 南無不可思議光なむふかしぎこう」という二句で、「帰敬ききょう」と言われている部分です。この二句の初めの「帰命」と「南無」とは、もとのインドの言葉に戻せば同じ意味になります。次の「無量寿如来」は、阿弥陀仏のことです。そして「不可思議光」は、阿弥陀仏の智慧のはたらきのことを表す言葉です。ですから、最初のこの二句は、いずれも「南無阿弥陀仏」という六文字の名号みょうごうを、七文字にそろえて表してあるわけです。したがって、この二句は、親鸞聖人が阿弥陀仏の本願による念仏、「南無阿弥陀仏」をいただかれた、そのご信心を詠われたものなのです。
 第二の段落は「依経段えきょうだん」で、『仏説無量寿経ぶっせつむりょうじゅきょう』に依って述べてある部分です。第三句目の「法蔵菩薩因位時ほうぞうぼさついんにじ」からの四十二句がこれに当たります。ここには、阿弥陀仏の本願の由来と、釈尊が『仏説無量寿経』をお説きになられた意味が述べてあります。
 第三の段落は「依釈段えしゃくだん」で、第四十五句目の「印度西天之論家いんどさいてんしろんげ」から最後までの七十六句です。ここには、七人の高僧がたによる、本願の教えについての解釈が述べてあります。
 今回から、「依釈段」の最後の四句について学ぶことになりますが、この四句は、「依釈段」の「結び」になる部分であり、同時に、「正信偈」全体の「結び」でもあるわけです。
 まず、「弘経大士宗師等ぐきょうだいじしゅうしとう 拯済無辺極濁悪じょうさいむへんごくじょくあく」(弘経の大士・宗師等、無辺の極濁悪を拯済したまう)とあります。「弘経の大士・宗師等」というのは、「お経を世に弘めてくださった高僧がた」ということです。
 そのお経とは、『仏説無量寿経』のことなのです。これは「釈尊が無量寿仏(阿弥陀仏)についてお説きになられたお経」ということです。
 「大士」は、「菩薩」(ボーディ・サットヴァ、マハー・サットヴァ)というインドの言葉の中国語訳で、ここでは、龍樹りゅうじゅ大士と天親てんじん菩薩のお二人を指します。この二菩薩は、すべての人びとを救いたいと願われた釈尊のお心を最も深く汲み取られた方がたなのです。
 「宗師」は、「真宗の祖師」ということで、中国の曇鸞大師どんらんだいし道綽禅師どうしゃくぜんじ善導大師ぜんどうだいしの三人の方がたと、日本の源信僧都げんしんそうず源空げんくう(法然)上人のお二人のことを指しています。釈尊の教えの「まことみむね」を誤りなく伝えてくださった祖師がたなのです。
 この七人の高僧がたこそが、釈尊がお説きになられた、阿弥陀仏の本願の教えを世に弘められ、後の時代にまでそれを正しく伝えてくださったのであることを、親鸞聖人は讃えておられるのです。
 そして、「無辺の極濁悪を拯済したまう」と述べておられます通り、これら七高僧のお一人お一人が、間違いのない本願の教えを伝えようとしてくださったのは、極めて濁りきった悪世に生きて苦しまなければならない、数限りない人びとをすくいとり、本当の安楽にわたらせようとしてくださったためであると、聖人は感嘆しておられるのです。
 そもそも、お経というものは、釈尊のお言葉を文字にしたものです。しかし、数あるお経から、釈尊が真に願われた、そのお心を、その通りに読み取ることは、容易なことではありません。人は、悲しいことに、自分に都合よく理解できる範囲のことしか、理解しないからです。
 七高僧は、お経を弘められた方がたでありましたが、龍樹・天親の二菩薩は、釈尊のご真意を深く汲み取られたのでした。そして、曇鸞・道綽・善導・源信・源空の宗師がたは、二菩薩の教えに沿ってお経の本意を誤りなく読み解かれたのでした。
 これを受けて、親鸞聖人は、『教行信証きょうぎょうしんしょう』「教巻きょうのまき」の冒頭に、「それ、真実のきょうあらわさば、すなわち『大無量寿経だいむりょうじゅきょう』これなり」(『真宗聖典』一五二頁)と述べておられます通り、『大無量寿経』、つまり『仏説無量寿経』こそが、釈尊の教えの真実を顕しているお経であると明言するにいたっておられるのです。

九州大谷短期大学前学長 古田 和弘

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