機関紙『同朋新聞』

お寺の掲示板に込められたさまざまな願いを、今月の言葉と一緒に毎月お届けします。

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燈明寺
敬正寺(東北教区 秋田県北組)

秋田県能代市萩の台5番12号

  • 住職
  • 柳谷 悦麿(やなぎや えつまろ)

ブッダの言葉で印象に残ったものを選びました。特に前半の「独りで行く」と「孤独で歩め」を読んで自分なりの答えを考えてみてほしいです。人によって歩んできた人生は異なるので、捉え方が違うものだと思います。もし法語に触れた方が一生懸命に考えて導き出した答えであれば、そこに不正解はないはずです。

敬正寺がお寺の掲示板を始めたのは30年程前のこと。きっかけは、能代大火(のしろたいか)による寺地移転だったという。ご門徒が多く住む住宅街から離れたことによりつながりが薄くなってしまい、お寺の行事への参加者が少なくなってしまったそう。そこで、道行く人たちに掲示板を通じて仏教を伝えたいと思うようになったそうだ。試行錯誤しながら掲示伝道を続けてきたが、今では熱心に見る人が増え、毎月メモをとるご門徒もいるという。

 

毎月の言葉は、柳谷住職が複数案を考え、それを学生時代から書道を続けてきた坊守の美喜子(みきこ)さんが書き上げるという行程で掲示される。どの言葉を選ぶか住職と坊守で見解が分かれることもあるそうだが、坊守の意見を参考にすることが多いそう。工夫している点を伺うと、長くて難しい文章や、断定的な言葉を避け、多くの人が親しみやすい言葉を選ぶように心がけているという。

 

近年は敬正寺の周りでも掲示伝道を行う寺院が増え、さまざまな言葉に出あうことができる熱心な地域となっている。教化の一環として掲示伝道が広がっていることを、柳谷住職が実にうれしそうに話していたのが印象的であった。

 

東北教区通信員 光井(みつい) 広顕(ひろあき)