機関紙『同朋新聞』

お寺の掲示板に込められたさまざまな願いを、 今月の言葉と一緒に毎月お届けします。

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燈明寺
妙琳寺(東北教区 盛岡組)

岩手県花巻市大迫町大迫第4地割47番地

  • 住職
  • 衣更着 潤(きさらぎ じゅん)

ドイツの詩人・リルケの詩集『時祷詩集』の一節を信國淳先生が法語として紹介した言葉です。昨年4月に亡くなった父の闘病生活を支える中で、苦しみを背負いながらも生きるいのちを目の当たりにしました。「あれが大変」、「これがつらい」という日々の苦しみからさえ解放されたいと生きる私たちが、「生きよと願われているいのち」に出会えるのはいつでしょうか。

妙琳寺の境内の入り口に立つ掲示板には、月に一度、住職の心に引っかかった言葉が法語として掲げられている。これまでは印刷したものを掲示していたが、2026年から筆ペンで書き出して貼り出すようにした。表現を工夫し、より感情が伝わりやすい方法を模索しているとのことだ。

 

道行く人の中には、足を止めて掲示板を(のぞ)き込み、言葉の意味を聞きにくる人もおり、お寺を訪れるきっかけになっている。法要の後に既に掲げた言葉や掲げようと考えている言葉に込めた思いを伝えることもあるという。掲示板の言葉は、境内の風景の一部であると同時に、人と人とを結ぶ対話の糸口にもなっているようだ。

 

「反響の有る無しにかかわらず、一度目にとまる所へ掲げることで、言葉を見かけたその人に何かが残ってほしいと思う」と住職は語られた。教えの言葉に出遇(であ)った一人ひとりが何を感じ、どう受け取るのかということに重きを置く。静かな問いかけの場を提供することの大事さを感じた取材となった。

 

東北教区通信員 藤原(ふじわら) (りょう)