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死刑制度に反対し裁判員制度の見直しを求める決議

宗派声明
2009.06.16

 真宗大谷派の最高議決機関である宗会(常会)において「死刑制度に反対し裁判員制度の見直しを求める決議」が可決されました。  

 

死刑制度に反対し裁判員制度の見直しを求める決議

 

 

 5月21日より「裁判員制度」が開始されました。しかし、世論調査などによると80%あまりの人が、裁判員になることに不安を感じ、参加したくないと回答しています。「自分に人を裁く資格があるのか」、「死刑という形で人の命を奪いたくない」と苦悩する人の声が聞こえてきます。世論調査で明らかなように、この制度に関しての国民のコンセンサスは全く取れていません。

 

 「司法制度改革」、「司法の国民への開放」という方向は理解しますが、裁判員になることの辞退を容易に認めず、罰則によって義務付けている点で、国民に物心両面にわたり多くの負担を強いる制度になっています。私たちは、まず、国民に不安と苦悩を強いる、現状の「裁判員制度」を見直し、真の司法改革へ向けた議論の場を持つことを提案します。

 

 また、私たち真宗大谷派は、1998年より、死刑執行のたびに抗議声明を発し、死刑の廃止に向けた議論の場を設けることを提起してきました。その議論が十分に果たされていない社会状況の中で、現行の「裁判員制度」を容認することはできません。

 

 もし私たち真宗門徒が、死刑事件に裁判員として関わったとき、自らは死刑の判断をしなくとも、死刑判決に関わってしまったという心の傷は、一生自らを苦しめることになります。こういった苦悩は、私たち真宗門徒だけでなく、全ての国民が抱く苦悩だと思います。釋尊は、「殺してはならない。殺させてはならない。」と私たちに教えています。その教えに生きる仏教徒・真宗門徒として、司法改革制度は、死刑を廃止することから始まらねばならないと考えます。

 

 私たちは、真の司法改革に向けて、死刑の廃止と「裁判員制度」の見直しに向け、直ちに議論の場を持つことを訴えます。

 

 

2009年6月9日

真宗大谷派 宗議会

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