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労務問題に関する経緯と宗務総長コメント

重要なお知らせ
2017.05.25

労務問題についての経緯と宗務総長のコメントについて掲載します。

 

労務問題に関する経緯

 

去る4月下旬、宗務役員に対する時間外割増賃金未払い等に関して、新聞等の報道がありました。

この件については、2015年11月、真宗本廟奉仕の団体のお世話をする研修部補導が、京都地域合同労働組合「きょうとユニオン」に加入し、宗派に対して、時間外割増賃金の支給についての団体交渉の申し入れがありました。その席では、ハラスメントにかかる問題も提起されました。このような状況になった理由は、1973(昭和48)年に、研修部補導の年間の休日数を事務職員よりも2割程度多く確保し、僧侶としての学びの時間を確保することを条件として、時間外割増賃金を支払わない旨の労使間の覚書が宗派と職員組合との間において交わされたことに端を発しています。

宗派はこの申し入れを受け、きょうとユニオン・当該職員・宗派で団体交渉を行うと同時に、ハラスメントの問題についてもハラスメント防止委員会にて真摯に対応してまいりました。結果、三者間で合意に至りましたので、協定書を締結し当該職員2名に解決金を支払い、合意後も双方が日常生活、宗教・事業活動に十二分に配慮する旨の確認をして解決を見ています。


                                
労務問題についての宗務総長コメント


これまで、労務についての法令に対する不充分な認識のもと過去の覚書を無自覚に更新してきたことが、研修部補導の方々に多大なご迷惑を招く結果となり、大変申し訳なく思っております。

また、真宗本廟奉仕に参加された方々、同朋会館教導・嘱託補導の方々をはじめ宗門各位の皆様にご心配をおかけいたしましたことに対しても、深くお詫び申し上げます。

今回、問題となりました研修部補導の業務は、真宗本廟の清掃奉仕・研修のために全国から上山いただく門徒の方々に対して、そのお世話をする役割を担うものです。そうした状況から、研修部補導については、門徒の方々と同様に奉仕の心をもって仕事に臨み、加えて僧侶としての学びの機会をいただくという考え方から、労働と奉仕・学びの間に明確な線引きが困難な状況にあったもので、これまでの覚書においても、この点が斟酌された内容になっていたものと推察いたします。

一方で皆様もご存知のとおり、昨今、労務問題に関する状況は大きく変化しており、宗派としても時代の要請に対応するため、手当の増設・増額によって改善の方針をもって取り組んでまいりました。

しかし、このような補導の役割の特殊性から勤務に関する実態把握の認識や、その取り組みが不足し、補導の多様な心構えや業務実態を詳細に把握することもできず、また変形労働時間制等の導入検討も、結論を得ることもなく今日に至っておりました。

宗派としましては、今回の時間外労働及びハラスメントに関する問題を契機に、職場環境における改革と制度整備が必要であると強く受け止め、問題解決に向けて行動が必要であると認識しております。

今後は、まず研修部補導について、過去の勤務実態を把握の上、時間外労働に関する問題の解決を図ります。同時にすべての職員を対象に出退勤管理を行い、法令順守を徹底し三六協定等にも適正に対応してまいります。

これらの改革と是正に当たっては、職場環境改善の協議会を組織し、その代表者と共に現在の職場環境を点検し協議した上で、さまざまな働き方や職員の状況に適した労働形態を話し合いのもとに作り上げてまいります。

最後に、真宗本廟奉仕の取り組みは、同朋会館で数限りない参加者の方々が同じ志を持つ参加者に出会い、同朋会館教導・補導・職員に出会い、あらためて親鸞聖人の教えに出遇いなおして、念仏者の集まりを形成していく、宗派の根幹を担う大切な事業であります。これからも絶やすことなく継続していかなければならない事業であると考えております。

つきましては今後、法令順守に則り、具体的には変形労働時間制や裁量労働制などを検討するとともに、労働時間を適正に把握する体制を構築し、全職員を対象としたハラスメント防止の啓発研修など、今回の労務問題によって認識できた点を一つひとつ解決して、より良い職場環境の確保に努めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。


2017年5月

真宗大谷派(東本願寺) 宗務総長 但馬 弘

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