宗派情報 樹心佛地(じゅしんぶっち)

「法義相続」と「別院再興」(真宗2025年7月号掲載)

樹心佛地
2025.06.25

別院は、その地域の教化の中心道場として堂宇を備え、本尊を安置し、教義を宣布し、儀式を執行し、僧侶及び門徒を教化育成し、教区又は開教区の機関及び施設との緊密な連携のもとに、地方の特性に応じて教化に必要な業務を行い、もって同朋社会を実現することを目的とする。(別院条例 第2条)

 

2023年10月、別院の将来像を検討するための宗務審議会「別院の将来構想に関する委員会」が立ち上がり、全国51別院の現況分析と再編成等を踏まえた協議がなされ、2025年5月に答申が提出された。

 

これまでに別院の振興を目指した取り組みの端緒は、1961(昭和36)年に遡る。同朋会運動発足と時を同じくして「別院振興審議会」が設置され、全国54別院(当時)に対する精力的な調査が行われてきた。各別院を網羅した振興策について、解散や普通寺院化を含め、抜本的な提言がなされている。その後も幾度となく別院の機能回復を目指して、部門の長による諮問機関や宗務審議会が設置され、真摯な協議が行われてきた。「列座の出向制度」、「別院特別教化助成」、「輪番協議会」等が実現しているものの、別院相互扶助の根本的な制度構築に至っていない。

 

戦後以降の人口の都市集中による過疎過密化、就業構造の変化、核家族化等、私たちの社会構造は大きく変化をし、真宗の宗風も、地域によっては衰退の一途を大きく辿っている。その地の盛衰は、まさに別院の教勢に直結し、地域とともに歩んできた別院も否応なく時代の波にさらされている。

 

別院の再興。それは教えからはじまる。人と人とのつながりによって生まれる念仏の道場を未来に継承していくこと、別院にかけられた願いを後世に伝えていくことが肝要ではなかろうか。地方における教化の中心道場である全国の別院の新たなる将来像を紡ぎだしていくこと。そのための体制構築に向けて、この問題を宗門人全体の課題として取り組まなくてはならない。

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