宗派情報 樹心佛地(じゅしんぶっち)

寺院と門徒とのコミュニケーション(真宗2025年9月号掲載)

樹心佛地
2025.08.25

「令和6年能登半島地震」が発災した2024年1月1日を実施日とした第八回教勢調査の結果が「報告書」としてまとめられた。報告書に示されるように「教勢調査のねらいは、宗門の教勢の実態を統計データに基づいて客観的に把握するとともに、施策立案のための基礎資料を作成すること」であり、まさに「教団の足もと」を明らかにする重要な意味を持つ。

 

報告書では、「過去の調査結果では、教勢は停滞状況にあるとされていた。しかし、今回の調査結果が示すのは、教勢の停滞ではなく衰退である」という衝撃的な言葉とともに、寺院と門徒の関係を保つことが難しい状況を指摘している。同時に、門徒との関係性維持に関してコミュニケーションについての考察がなされているが、この点は今後の教勢を大きく左右する一つのカギになるのではないだろうか。

 

今年度は、宗務改革の取り組みの一つとして『同朋新聞』のリニューアルが企図されている。この『同朋新聞』が、本山─寺院─門徒を繋ぐ大きなコミュニケーションツールとなることを願いとした取り組みである。

 

しかし、残念ながら『同朋新聞』が全ての門徒に行き渡っていないという現実問題を抱えている。この配布の課題について、本山が何らかの施策を講じるべきとの声も聞こえる。しかし、施策を講じたとしても最終的には、各寺院が積極的に取り組むか否かにかかっている。『同朋新聞』が毎月寺から届けられることによって、真宗大谷派の門徒である、そして◯◯寺がお手次の寺院である、このような認識に繋がっていくという効果を得られる。

 

報告書の末尾には、門徒との関係性構築について、決して目新しいことが必要ではなく、伝統的に実践してきた仏事をはじめ日常的な門徒とのコミュニケーションの積み重ねの重要性が述べられている。その一歩として、まずは『同朋新聞』の配布拡大に全宗門あげて取り組み、真宗再興と教勢の興隆を願うものである。

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