真宗本廟では最も大切な御仏事、「御正忌報恩講」がお勤まりになり、各地の寺院でも報恩講が勤まる季節である。既にお勤めされた皆さんはどのような感想をお持ちだろうか?
2024年1月1日に実施された「第8回教勢調査」の報告書が全寺院に送付された。また、9月17日には第8回教勢調査の「全体報告学習会」が行われ、インターネットでも配信された。
「全体報告学習会」の中で講師のお一人から「大谷派の教勢は停滞ではなく衰退の局面にある」との厳しい指摘がなされ衝撃を受けたが、各寺院の報恩講についても規模の縮小が数字に表れている。このままでは宗門の使命である「次世代に本願念仏のみ教えを手渡す」ことが危ぶまれる状況ではないかとの危機感を覚えた。
ある数百年続く老舗の当主は「変えてはならないことはただ一つ、良いものを提供すること」であり、「そのほかに変えてはいけないことは何一つない」と述べられたという。私たちにとってただ一つの「変えてはならぬもの」とは宗祖が開顕せられ私たちにまで届けられた本願念仏のみ教えを、世代を超えて相続してゆく営みであり、そのほかには「変えてはならぬもの」はないのであろう。
現在、行財政改革の一環として新たにいくつもの委員会・宗務審議会が設置され、それぞれの課題に取り組んでいる。宗門の在り方が時代社会の変化に対応して変わろうとしている。宗門の在り方も変わらねばならないが、宗門に属する私たち一人一人の意識こそが「変わらねばならぬもの」ではないだろうか。
今般、宗議会議員選挙が実施され新たな議会が構成された。新たな議会において「変えてはならぬもの」を相続するために「変わらねばならぬもの」があることを念頭に活発な議論が行われることが願われる。