―声を聞き、願いを引き継ぐ―
7月6日、広島別院明信院にて「被爆80周年非核非戦法会兼原爆死没者追弔法会」が勤修されました。児童や青年など様々な世代の姿が見られ、遠近各所から57名が集っての法会となりました。法会は泉原寛康広島別院輪番の挨拶に始まり、勤行では「阿弥陀経」の読経と「正信偈」が同朋唱和され、雅楽の音色と勤行の声が響きました。
勤行の様子
勤行後には、被爆体験証言者の切明千枝子氏と「ヒロシマとつなぐ会」の佐藤優氏のお話がありました。切明氏は15歳の時に学徒動員で勤務していた被服支廠で被爆した体験を語り、「被爆時のことを忘れたいと思えば思うほど思い出します。ああ、これは忘れてはいけないことなんだなと、やっと気がついた」と80歳の時の思いを振り返りました。
続いて佐藤氏が、自身の活動のきっかけや切明氏との出会いを話されました。佐藤氏は被爆者の方々の歩みを紹介し、「何が語られていないのか、空白や沈黙が伝えるものを想像していくことが求められていると思います。被爆者の声をなかったことにしない、亡き人の記憶を殺さないように、私は色んな方の声に耳を傾け、考え続けていきたいと思っています」と語りました。
お話後の質疑応答では、切明氏が「核兵器廃絶、世界平和をあきらめないで執拗に叫び続けていくことが、広島の役目であり、被爆者たちの願いでもございます」と願いの発信を呼びかけました。
質問に応じる切明氏と佐藤氏
このたびの法会では、5月17日の山陽教区「非核非戦のつどい」でも使用された子どもたちによる手作りの打敷が掛けられており、この打敷は今後も使用されます。また山陽四国教区公式YouTubeチャンネルには「非核非戦のつどい」の切明氏らの鼎談の様子などが公開されています。戦争の惨禍を忘れないように、非核非戦の願いを、被爆者の声を、様々な世代と共に聞く80年目の法会となりました。
(山陽四国教区通信員・青山祐一)
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