真宗本廟では11月21日から28日にかけて報恩講が厳修され、期間中延べ約35,000名が参拝しました(参拝申込335件、6,584名)。またYouTubeにてお勤め・法話等のライブ配信を行い、延べ約38,000回視聴されました。
宗祖親鸞聖人の御命日を縁として、本願念仏の教えを確かめ合い、御恩に報いる御仏事である報恩講。11月21日初逮夜から28日結願日中にかけて、7昼夜全21座が勤まり、全国の寺院から僧侶延べ788名が出仕しました。逮夜では関係学校の生徒・学生やご門徒による感話と、僧侶による報恩講法話・御文法話がありました。また22日には九派総長の御代香が、27日には本願寺派門主の出仕・御親香がありました。
日中・逮夜の勤行にあたっては、全日程で木越渉宗務総長より挨拶があり、「この報恩講の感動を故郷に持ち帰り、故郷のお寺にお参りしていただきたい」と述べるとともに、「能登へ届くように念仏しましょう」と呼びかけ、能登半島地震の被災地へ息の長い支援を行っていくことが表明されました。
◆御正忌報恩講讃仰法要
21日の午前には、報恩講初逮夜に先立ち、「御正忌報恩講讃仰法要(音楽法要)」が勤まりました。法要にあたって木越宗務総長より、「娑婆世界では互いの違いを認め合えないが、浄土では違いを認め合い、違う音であっても宮商和して良い音が鳴っている。このような浄土の教えに親鸞聖人は出あわれた。そんな聖人から賜った念仏の生活を確かめ合うのが報恩講である」と挨拶がありました。
法要では、北海道大谷室蘭高等学校の生徒・教員七名を含む計54名の合唱団が参加し、参拝者と共に勤められるよう編成された音楽法要曲(新実徳英氏作曲)を用い、法要を荘厳しました。
御正忌報恩講讃仰法要(音楽法要)【21日】
◆『御伝鈔』・「坂東曲」
25日の夕刻には、御影堂で親鸞聖人のご生涯を伝える伝記『御伝鈔』の拝読があり、参拝者は聖人の生涯の歩みに耳を傾けました。また27日の結願逮夜後には、「御俗姓」が拝読されました。

『御伝鈔』拝読【25日】
御命日の28日には、親鸞聖人の恩徳を讃嘆し、その教えをいただく場として「祖徳讃嘆」が行われました。講師の草野顕之氏(真宗大谷派講師)は、本願寺第三代覚如上人による『報恩講私記』に記された聖人の3つの徳「真宗興行の徳」「本願相応の徳」「滅後利益の徳」について話され、「真宗本廟では聖人の御真影が眼前に存在し、また教えが様々に法話という形で語られる。750年以上前に亡くなられている聖人が、滅後利益の徳をもって今なお私たちの前においでになることを感じられる」と語られました。
結願日中(御満座)では、僧侶56名が体を力強く前後左右に動かしながら念仏と和讃を繰り返す「坂東曲」が勤まりました。

坂東曲【28日】
◆期間中の諸行事
23日には、御影堂北側広縁において、宗派の関係学校である大谷中学・高等学校[京都]の吹奏楽部による演奏会が行われました。また同日に「子ども報恩講のつどい」が開催されました。今回で14回目の開催となる「つどい」では、全国から約二百名の親子が参加。御影堂で「正信偈」のお勤めの後、乾文雄氏(大谷中学・高等学校長)によるお話を聞きました。その後は精進カレーのお斎、山添真寛氏(浄土宗僧侶)によるひとり人形芝居があり、子どもたちが楽しむ様子が見られました。
しんらん交流館大谷ホールでは、24日には真宗教学学会講演会、26日から28日には親鸞聖人讃仰講演会)が開催されました。また27日には「御正忌報恩講コンサート」を開催。各教区・寺院で結成された合唱団及び大谷大学の学生・OB・光華小学校の児童が参加し、ホールに歌声を響かせました。
また今年も11月20日から29日にかけて報恩講奉仕団が開かれ、報恩講への参拝を中心に、講義、座談、渉成園での清掃奉仕を行うなど、真宗本廟奉仕の生活を過ごしました。
報恩講お斎は、『精進ごはん おうちでできるレシピ108』(東本願寺出版)の著者である森かおる氏監修のもと、一部献立がリニューアルされ、能登半島地震の復興支援として能登の食材を使ったお斎が用意されました。
◆境内内外での取り組み
境内・お東さん広場では、前年に引き続き「令和六年能登半島地震復興支援事業」(テーマ:東本願寺で能登を想ふ)として様々な企画が行われました。
各日の日中と逮夜の間には、宗祖親鸞聖人の自筆にふれていただくことを願い『教行信証』坂東本(影印本)の展示及び教学研究所の研究職員による解説が阿弥陀堂で行われました。解説の後には、参拝者は展示された影印本を間近で熱心に見つめ、研究職員に質問する姿も見られました。
御影堂門では楼上一般公開を実施し、約3,000名が足を運びました。今回は御影堂門が再建された際に、日本画家の竹内栖鳳が天井画として描く予定であったものの未完に終わった「飛天舞楽図」の下絵を、デジタル合成し天井に投影。ライトに照らされ通常とは異なる楼上の雰囲気の中で、参拝者は興味深く天井を見上げました。
境内白洲においては、真宗大谷派教誨師・篤志面接委員会の取り組みを紹介するパネル展示及び刑務所作業製品の展示即売会や、宗派関係学校の光華女子学園、大谷中学・高等学校[京都]による展示ブースも設置されました。
しんらん交流館では、差別や戦争等の苦しみの中で、解放を願う人びとの絵画や版画等をパネルや動画で展示する「AIAUひろば」が行われました。
23日・24日・28日には「子ども参拝案内所」を設け、子どもたちに向けた両堂の参拝案内、参拝記念品の配布や紙芝居の上演等を実施。22日から25日には東本願寺キャラクター大型バルーンも設置され、子どもたちが元気に遊ぶ様子が見られました。
しんらん交流館・御影堂北側高廊下・京都駅前公益地下ストリートギャラリーでは大谷保育協会加盟園と京都市内各園の園児の作品を展示する「報恩講園児絵画展」を開催。東本願寺出版では、報恩講期間にあわせ「秋のブックフェア」を開催し、オンラインチャリティブックフェアや購入者プレゼント企画等を実施しました。
また青少幼年センターでは、子どもやひとり親家庭への支援のため、お菓子やお米、日用品などの寄付を募る「おてらおやつクラブin東本願寺」を開設。期間中多くの寄付が寄せられました。
渉成園では11月15日から30日まで、夜間特別拝観「渉成園 秋灯り」を実施。庭園のライトアップとともに飲食ブースの出店もあり、報恩講への参拝の後、庭園へ足を運ぶ姿が見られました。