11月24日、真宗教学学会主催による第33回「真宗教学学会講演会」をしんらん交流館大谷ホールを会場に開催しました。
真宗教学学会では、毎年報恩講期間中に宗派内外から講師をお招きして講演会を開催しており、一昨年度から掲げている「人と生まれて―信仰と社会―」のテーマのもと、福田琢氏(同朋大学学長)、福島栄寿氏(大谷大学教授)にご講演いただきました。
福田氏は「釈子畢罪(しゃくしひつざい)の時、仏もまた頭痛す」と題し、依然として戦火の止まない現代社会において、仏教がいかにして戦争のない理想世界への願いを織りなしてきたのか、そしてその歴史から私たちは何を読み取るべきなのかを講演されました。講演では、釈迦族の王子として生まれた釈尊が侵略によって釈迦族が滅亡した際に頭痛をしたとする伝記や、戦わずして世界を治める理想的君主「転輪聖王」を紹介され、その歴史から願われてきた平和について話されました。そして、近代的知性によって平和を築こうとする現代の私たちに対し、「信受」という言葉が突き付けられているのではないかと述べられました。

福田琢氏(同朋大学学長)
福島氏は「自分史を省みる ― 近現代真宗史学徒として」と題し、なぜ近現代真宗史を自らの研究課題とするのかを、自身の歩みを通して語られました。講演では、幼少期から身近にあった宗教的環境、そして学生時代・研究職・大学教員としての経験の中で出会った人々や言葉を紹介しつつ、真宗近現代史のさまざまな課題を示され、特に自身の著作に向けられた厳しい批判について触れ、そのような厳しい言葉こそが自身に呼びかけるはたらきであると述べられました。そして、研究を通じて社会に問いを発し続けると同時に、社会から問い知らされる声を大切に受け止めることこそ、歴史学徒の責任であると結ばれました。

福島栄寿氏(大谷大学教授)
なお、2025年12月17日(水)から2026年1月16日(金)までの1ヶ月間、東本願寺公式YouTubeチャンネルで本講演会の録画映像を配信していますので、当日ご来場いただけなかった方は、この機会にぜひともご視聴ください。
また、『真宗教学研究』第47号(2026年7月、電子ジャーナルで発刊予定)にも講演録を掲載します。
【録画配信】
講演①(福田琢氏)
URL:https://youtu.be/Om9K1PiMEA8
講演②(福島栄寿氏)